2012年06月18日
「久しぶりの風景。」
今日、数年ぶりに縫製工場に行った。裁断台、ジューキのミシン、ボタンホールを開けるミシンなど懐かしくて嬉しかった。そして以前世話になった縫製工場のオヤジや母ちゃんの顔を想い出した。
今ではこの日本で販売されている衣服のほとんど全てが、この日本ではつくられていない。僕がアパレルの世界に入った頃の(15年前位)前後の数年間がその転換期だったのかもしれない。そして驚くほどに、みるみると服の価格は安くなった。僕が就職した頃に、一型100枚でシャツ一枚を縫製工場に頼んだ時の加工賃(縫い代)よりも今販売されているシャツのほとんどの価格は安い。パンツだってそうだし、全てがそうだ。当時はまだまだ国内生産がしっかりとあって、僕はたくさんの縫製工場に行き、たくさんのことーそれは仕事以外のことも含めてー教わった。場所は群馬の桐生だったり、福島の三春だったり、八王子や宮城県、名古屋、大阪といろいろあった。夜会社を出て、納期に間に合いそうもない工場に行って一緒に仕事して、朝縫いあがった服を持ちかえるなんてことは日常だった。そんな僕の大切な景色は今ほとんどない。日本には今何件の縫製工場があるのだろうか。バカな話だが、そんな風に縫製工場に安く安くと作らせて工場を壊しながら自分の首をどんどん絞めたアパレルメーカーだって今はボロボロらしい。そんな中、僕の大切なキャンディーストリッパーがしっかりと前進している事実は、本当に嬉しい。もちろん貫けない現実という部分もあるのかもしれないが、嬉しい。
そしてこのトム・ウェイツ。彼はもう60を超えている。が、全身全霊で自分を表現し続けている。素晴らしい。僕に何が出来るのかはわからないが、精一杯自分をやり尽くしたいと思う。 以上。
Posted by kazz! at
21:39
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